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原作ものの仕事の苦労は色々あるが、特にゲーム原作でビデオの場合、何が一番の苦労かというと、物理的に内容が収まらないことだろう。
アドベンチャーゲームの台本とアニメの台本とを比較すると、大げさでなく軽く50倍以上の差があるのだ。 これを長くて3巻組で90分、2巻組で60分、1巻ものだと30分に納めなければならない。 物理的な内容といっても色々あるが、特にキャラクターの数が一番の問題になる。 美少女ゲームなどだと、主要キャラクターがかなり多い。少なくて4人、多い時は10人からいるのだ。
これは、ゲームがマルチストーリーであるからこその仕様であって、ほとんどが短編〜中編ものに近いビデオアニメではかなり無茶な数だ。 この対処の仕方としては、とりあえず主役クラスの数人をメインにして、残りは顔出し程度に登場させる、思い切ってストーリーに不必要なキャラはバッサリ切る、各話ごとにメインキャラを変える、の3パターンがある。
ラクなのは当然バッサリ切るパターン、各話ごとにメインキャラを変えるというやり方もよくある手だが、このやり方は、原作を選ぶので必ず使えるわけではない。また、二巻組でメインキャラが10人もいたらお手上げである。
やはりプロットを起こす時、一番辛いのが、とりあえず顔出し、のパターン。 意外と知られていないが、ゲーム原作のOVAといえど、実際視聴するユーザーの半分以上は、原作ゲームをプレイしていないのだ。 いきなり脈絡もなくキャラが劇中に登場するのは、原作のファンサービス以外の意味はなく、原作を知らない人にとってあまりに不親切。 そこで、全員出す時はなるべくストーリーのどこかで役割を設定して意味のある登場の仕方に腐心する。うまくいく場合も、そうでない場合もあるが、無意味な登場だけは避けたいと思って執筆している。
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2000/02/08
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